日本で働いていると日本の雇用慣行に慣れてしまいますが、グローバル視点では全く違うということに気づきやすくなった今日この頃です。今回は最近日本のスタートアップ界隈の採用でも導入が進んでいるリファレンスチェックについて解説します。

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リファレンスチェックとは

リファレンスチェックの概要

リファレンスチェックとは、採用候補者の業務における能力・実績や人柄について、前職で候補者をよく知る者にヒアリング調査を行い、本人からの情報とヒアリング対象者からの情報の相違を確認するための調査を指します。元来、外資系企業では頻繁に行われていて、海外では一般的な採用慣行らしい。

私は、新卒の外資ファームから第2新卒で欧州系ファームに転職する時にはこのリファレンスチェックが一切無かったです。今はあるかも知れませんが中途採用などでは一般的に行われるようです。

リファレンスチェックの質問項目

主に聞かれる項目は以下となります。

勤務関連

  • 求職者の勤務期間が適切な期間であるか
  • 役職や職務内容
  • 仕事への取り組み方

コミュニケーション関連

  • 同僚や上長と良好なコミュニケーションを取れていたか
  • 採用候補者との関係

パフォーマンス関連

  • 問題解決能力や対応力
  • 今後も一緒に働きたいか
  • 改善すべき点

キリンの転職活動例

今回の転職活動において、4社から最終面接とオファーの話をいただきました。
そして、驚いたのですが、このうちの2社からリファレンスチェックを行うと言われました。
外資系転職は経験していたし、海外大学院留学も検討していた時期もあり、海外の「リファレンス」文化に関してはしょうがないと割り切っていたのですが、国内企業からリファレンスチェック依頼を貰うことになるとは思いませんでした。
これら4社はいずれもベンチャー企業でして、社員数は1社が500人前後、もう1社が60名前後となっています。

担当者と話をするとどうやら、最近ではベンチャー企業でも人数は増えてHR機能に余裕が出てくると、リファレンスチェックが導入され、最終面接前に依頼することがあるようです。

調査方法について

リファレンスチェックの調査方法は主に2通りあります。

採用候補者に伝えず前職に電話ヒアリングをするケース

これは以前より、外資系企業で実施されていた調査方法となります。
候補者の所属先は事前に履歴書・職務経歴書に記載されているため、
その所属先に調査会社が電話連絡を行い、対象者にヒアリングします。

候補者自身に対象者を指定してもらうケース

候補者自身が対象者を指定します。
一般的に2名がヒアリング対象となります。

  • 候補者の前職(または前々色)での管理者1名
  • その他同僚1名

候補者は人事に対して、ヒアリング対象者の前職での役職、関係、連絡先を共有します。
ここから、専門の調査会社が候補者に連絡をするようです。

調査メリット・デメリット


前提として、採用候補者には一切メリットは無いですwww
しかし、雇用者側からするとこの調査を行うことでのメリットの方が大きいため導入をしているのでしょう。

雇用者のメリット

雇用者としては、リファレンスチェックを行うことにより、候補者が経歴詐称をしていないことを確認できます。

雇用者のデメリット

採用候補者に同意を取らずに連絡をする場合、採用候補者は前職の上司に転職活動をしていることを知られてしまいます。
これは個人情報保護法に違反するものであり、個人の権利を侵害することになります。

そのため、通常リファレンスチェックを行う際は、候補者個人から同意を取り、候補者が指定する対象者情報を取得する方法がとられます。
このプロセスで候補者より同意のエビデンスが無い場合、企業は個人情報保護法違反で訴えられても文句は言えません。

私の場合は、Wantedlyでテキストで同意の旨伝えましたのでこれがエビデンスになるでしょう。

転職者希望者は知っておいた方がいい


実は本当にここ最近で広まってきた慣習のため、知らない人が多いので、以下にあげる3項目は抑えた方がいいと思います。

採用ページに記載が無いケースが多い

リファレンスチェックについて書いているウェブサイトの多くが、採用ページにリファレンスチェックをする旨確認する必要性を説いていますが、ほとんどの会社で書いていないのが現状です。実際に私の受けた会社も書いていなかったです。

採用候補者が安心して応募したとしても蓋を開けたらリファレンスチェックがありましたなんて言う話は結構多いです。常にリファレンスチェックが実施されることを想定して行動しましょう。

1ヶ月業務委託契約で実力を見る企業

また、1ヶ月パートタイムもしくは業務委託契約を結び、候補者の実力や働き方を評価する企業も増えてきている。この施策は非常に有効であり、採用候補者の実績に等しいバリューが出せているのかを採用側は確認でき、採用ミスマッチを防ぐ効果もあります。

もし実力が足りなければ、このトライアル期間(通常の試用期間は正社員雇用と同条件であることを加味すると同義では無い)がさらに数ヶ月延びることもあるようです。

前職とは良好な関係性を..

一番良いのは極力前職とは良好な関係性の中で任期を終えることかと思います。
例外的に、入った会社が超ブラック企業で、入社後にバックレたくなる気持ちもあると思いますが、その次に入りたい会社でリファレンスチェックがあるとその先も大変になりますからね…www

最後に

ここまでリファレンスチェックに関して書きました。
今後は、転職活動の場合はこのようなリファレンスチェックが今後日本でも当たり前となります。

私自身の転職活動経験で言えば、外資コンサル2社経験して、2年で辞めて色々やっている話とか聞いたら嘘くさくてしょうがないと思いますしね(本当なんですけどね)。

労働者としては個人情報保護の問題や前職でのネガティブな経験などが顕在化することもあり、非常に納得行かない調査ですが、
自分自身が会社を経営していたら、入社した人間が大嘘つきでなんてことがあっても困るので導入すると思います。このような事象を防ぐために、前職では良好な関係を築いて退職するのが一番良いと思います。