Webディレクターにも様々な領域を専門に持つディレクターがおりまして、私の場合は分析を強みに持つWebディレクターとなります。今回は前職のWebマーケティング会社に未経験転職する際に、学習して取得したウェブ解析士資格がどれほど私を助けてくれたかを振り返ります。

また、試験準備の学習では、前職のITコンサルタント時代に土日の友人との輪読形式インプットの中で3ヶ月間学習しました。人によっては1ヶ月の学習で合格された方もいるので、学習期間は個人差があると思います。

補足ですが、アイキャッチ画像のロゴは合格者は自由に使えるため、ウェブ解析士協会HPより拝借しております。

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ウェブ解析士について

Web業界で仕事をする上で、必ずといっていいほどWebサイトのアクセス解析をすることになるのですが、知識の無い状態でこれらの運用を行うのはほぼ確実に不可能です。なぜなら、昔よりWebマーケティングは体系化されてきていますが、数多くの要素が複雑に絡まり現在のWebマーケティングの形が出来上がっています。何も知らない状態でWeb担当になるとだいたいは以下のような疑問が噴出することになるはずです。

「どの指標を見ればいいのか?」
「横文字の専門用語多すぎて意味わからない!」
「ペルソナって何のこと?」
「SEOとWebマーケティングってどう違うの?」
「アクセス解析ツールってどうやって使うの?」

解析士資格はこのような疑問を解決する手段を我々に提供してくれます。

試験範囲

ウェブ解析士の資格は、上記のようなWeb担当者で上記のような疑問を持つ人がWebマーケティングを体型的に理解するフレームを授けてくれます。試験は公式テキストから出題され、2019年度の公式テキストは以下の構成となります。

  1. ウェブ解析と基本的な指標
    ウェブ解析の概論とウェブ解析士協会の組織に関する項目
  2. 環境分析とKPI
    ビジネス環境分析とユーザ分析を行うためのフレームワークを学習します。また、WebサイトタイプごとのKPI設計の手法を学びWebサイトの企画の仕方を学べます。
  3. ウェブ解析の設計
    策定したKPIに対して、計測するためのツールの設定や解析設計の手法を学びます。
  4. インプレッションの解析
    ユーザの認知指標であるインプレッションの解析手法を学びます。
  5. エンゲージメント・間接効果の解析
    SNSによるユーザエンゲージメントについても学びます。
  6. オウンドメディアの解析
    自社サイトに集客したユーザをCVさせるためのメディア解析手法を学びます。
  7. ビジネス戦略ごとの重要な用語と指標
    WebサイトはタイプによってKGI、KPIが異なるため、Webサイトごとの解析手法を学びます。
  8. レポーティング
    web解析士として必要となる解析結果のレポーティング手法について学びます。

資格のメリット

認定者はWebマーケティングの知識だけに限らず、専門家とのネットワークを広めることもできます。

  1. 包括的な最近Webマーケティングの理解
    ウェブ解析士協会による公式テキストは毎年アップデートされているため、最新のWebマーケティング事例について学習することができます。また、テキストは400ページ以上のため最低限必要なWebマーケティング論点をカバーしています。
  2. 就職時に評価がアップ
    ウェブ解析士の資格は業界スタンダードの資格としての認識が定着しているため、多くの企業でその価値が認められています。特に未経験者でWeb関連職種(エンジニアの場合は別)に応募する場合には必要最低限の知識を持っていると見なされ評価対象となります。
  3. 協会での人的ネットワークからの情報
    ウェブ解析士試験に合格し、認定を受けるとウェブ解析士協会のデータベースに自身のプロフィールが登録され、ウェブ解析士協会のイベントへの参加メッセージが受け取れたり、協会関係者とのネットワークを構築できます。協会に所属しているのは有名なアナリストが多いため、先達の経験談を聞けるのは大変意義があります。

試験の難易度

試験は大変専門的のため、事前学習無しでの合格はかなり難しいと思われます。

試験はオンラインで実施され、60分60問の構成となります。合格ラインは全体の70%以上の得点率が必要となります。
また、試験に合格した後はGoogle Analyticsを実際に操作する解析レポーティングを2週間以内に提出する必要があります。私はちょうど80%で合格しました。

このレポーティングは大変実践的でウェブ解析士協会サイトのアクセス解析のボトルネック特定と改善施策立案をするものです。よっぽど変なことを書かなければ不合格にされることはないと思いますが、初めて解析を行う方の場合には作業時間として5時間程度は見積もっておく必要はありそうです。私はGoogle Analyticsをまともに活用したのはこの時が初めてでして4時間程度はかかりました。

費用について

ウェブ解析士は、資格を取得する時と資格を維持する時に費用が発生します。

試験にかかる費用

試験 17,280円(税込) + 公式テキスト4,320円(税込)

初年度は、この金額に初年度の協会登録費が含まれています。

継続にかかる費用

ウェブ解析士協会費 6,480円(税込)

協会費は年間費用となります。

取得後の感想

ウェブ解析士取得後にWebアナリストとして現場に入ってからは業務へのキャッチアップは他の人よりはスムーズだったと思います。前職がシステムエンジニア、ITコンサルタントであったこともありますが、資格取得に向けた学習の中でWebマーケティングを包括的に学べたことはとてもキャリアの助けになり、大変満足しています。

一応合格するとこんな感じで名簿が生成されます。

ここから解析士に問い合わせもできるようです。

また、実際の業務で生きるのかというところですが、以前の記事にてアナリストの業務内容を見てもらってもわかるのですが、学んだ内容は即活かせます。特に、運用レポーティングの箇所では解析士の内容がドンピシャです。各チャネル毎(自然検索、有料検索、SNS、リファラル、ダイレクト)の詳細な分析については、自習の必要があると思いますが、ここをウェブ解析士の範囲にしたらとんでもないことになるので、現状カリキュラムで十分と考えます。

上流のWebマーケティング戦略の箇所は、上級ウェブ解析士の範囲となるので、1年目のジュニアアナリストにとっては最適な資格であると言えます。

未経験転職での評価

私のいた会社では、そこまで評価されませでしたが(と言うのも会社がベンチャー企業でもっと統計学よりな分析を期待される場所だったからですが)、その他の製作会社やWebマーケティング会社では、かなり評価をしていただきました。履歴書やWantedlyを確認してもらって資格取得をわかってもらうと言うより、志望動機やWebの話を通して、「未経験なのに、Webについて詳しすぎない!?」と言う反応からウェブ解析士の資格を取得済みであることを説明して評価されるような感じです。
未経験で、Web業界への転職まで3ヶ月程度ある方はまず公式テキストを手にとって学習されることを強くお勧めします。ページ数は多いかもしれませんが、独学でもかなり理解できる資格ですので、トライして欲しいです。

上級ウェブ解析士の取得について

現状で、すでにWebサイトの運用業務だけでなく、戦略的な業務も複数経験させてもらっているため、上級ウェブ解析士を取得して、より戦略的な提案に対する知識の確認をしたいと考えています。これに関しては合格した際に順次報告します。