以前の記事などで書いた通り、私は今カナダでマーケターとして戦うために日本で戦闘力を高めていますww
やはりマーケターたる者、事前調査は重要タスクなので今回は求人情報サイトでカナダにおけるデジタルマーケティング職種を調査し、カナダ挑戦するためのスキル要件を整理して見たいと思います。
この記事の価値としては、以下2つにあると思っています。
- カナダにおけるマーケティング職種の最低要件がわかること
- 日本とカナダの違いがわかること
そのため、今後カナダでマーケターをやりたい人にとっては有益な情報になると思います。
また、実際にカナダ就労経験があるわけではないことをご了承ください(カナダに行く前に書いている記事であることにも価値があると思っていますが…)
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カナダのデジタルマーケティング職種
今回は、マーケターの中でもデジタルマーケティングを対象にして調べて見ました。またカナダの中でもスタートアップ集積地のバンクーバの求人を中心に調べて見ました。カナダでよく使われていそうな職種の呼び方など学びがたくさんあります。
デジタルマーケティングスペシャリスト(Digital Marketing Specialist)
いくつかポジションはありますが、このポジションの内容を最小公倍数的に含んだものを私の主観で選びました。
役割(Responsibility)
- Developing creative marketing strategies to target potential customers and drive traffic/conversions
- Designing and creating targeted ad campaigns on Facebook and Google
- Reaching out to publications, blog writers, to build marketing network for news releases
- Schedule consistent posts across social media using Hootsuite
- Work with copywriters to develop written content for Switchboard
- Report on campaign metrics to management team
Switchboard社よりHPより引用 (https://www.onswitchboard.com/careers/)
日本語では、こんな感じです。
・潜在的な顧客をターゲットにしてトラフィック/コンバージョンを促進するための創造的なマーケティング戦略の開発 ・FacebookおよびGoogleでのターゲット広告キャンペーンの設計と作成 ・ニュースリリースのためのマーケティングネットワークを構築するために、出版社、ブログ作家との関係構築 ・Hootsuite(Social Media管理ツール)を使用してソーシャルメディア全体で一貫した投稿のスケジューリング ・コピーライターと協力して、Switchboardの書かれたコンテンツ作成 ・キャンペーンメトリクス(キャンペーンKPIを記載したもの)の経営陣への報告
見た感じですが、包括的なチャネル別の集客計画とコンテンツマーケティングの実行など幅広く対応するイメージです。おそらく、やることは日本のデジタルマーケティング担当と変わりありません。
最低要件(What experience you need)
We encourage you to apply even if you do not think you meet all of the qualifications.
- Bachelor’s Degree
- Design (Adobe Creative Suite) skills are recommended but not required
- Good eye for layouts, colour, and modern design practices
- Strong understanding of digital marketing best practices including but not limited to:
- Google SEM/SEO
- Facebook Ads and Analytics
- A/B Testing
- PPC Conversion Optimization
- Landing pages
- Email funnels, CRM
- Ability to work in a fast-paced startup environment to effective manage multiple tasks with minimal supervision
- Organizational proficiency and documentation skills
- Proficiency with Microsoft Windows/MS Office Applications
- Highly collaborative; working with and through others in a team-oriented environment
Switchboard社HPより引用 (https://www.onswitchboard.com/careers/)
日本語では、こんな感じです。
すべての資格を満たしているとは思わない場合でも、申し込みをすることをお勧めします。 ・学士号 ・デザイン(Adobe Creative Suite)スキルが推奨されるが必須ではない ・レイアウト、色、現代的デザイン手法の理解 ・以下を含むがこれに限定されないデジタルマーケティングのベストプラクティスについての深い理解 Google SEM/SEO Facebookの広告と分析 A/Bテスト PPCのCV最適化 LPO ・メールファネル、CRM ・変化の早いスタートアップ環境において最小限の関与で複数タスクを効果的に管理するために、作業できる能力 ・組織適応能力および文書作成スキル ・Microsoft Windows/MS Officeアプリケーションの習熟度 ・チーム志向の環境で他の人とやり取りする協調的姿勢
かなり詳細に要件が記載されていますが、ここから見て取れるのは主に2点かと思います。
全般的なマーケティングチャネルの戦略・実行スキル
見る限り、自然検索、有料検索、SNS、メールなどの包括的な流入チャネルに関する戦略策定と実行スキルが要求されているようです。通常日本の企業でこの分野を全てみれるポジションは稀有なため、小規模な事業会社などのデジタルマーケティングポジションなどで経験を積む必要がありそうです。
デザイン・フロント開発スキルの理解のあるWebディレクター的なスキル
デザインスキルも要求されるようです。また、A/BテストやLPOなどと書いてあることからも自身でページデザイン要件を決めて、改修指示だけでなく、自分でコードを書き換えるくらいのスキルがあると良さそうです。日本では、Webディレクターのスキルセットなイメージです。
SEOスペシャリスト
SEOスペシャリストはSEOに特化したマーケティングポジションとなります。日本でもSEOコンサルタントという名前でポジションがありますが、やや分析に特化したポジションが多いように見受けられます。
役割(Responsibility)
- Execute SEO strategies to acquire new customers while successfully achieving ROI goals within the Canadian eCommerce market
- Perform targeted and thorough keyword & content research
- Optimize site copy before it goes live for Best Buy’s content including category overviews, buying guides, brand stores, marketing pages, blogs, and feature articles
- Manage local SEO for 192 stores across Canada
- Complete regular reporting and competitor analysis
- Constantly keeping up to date on SEO changes and best practices
- Collaborate with Agile teams and provide SEO recommendations
Best Buy Canada社HPより引用 https://careers.bestbuy.ca/csbsites/bestbuy/searchresults.asp
日本語では、こんな感じです。
・カナダのeコマース市場でROI目標を達成しつつ、新規顧客を獲得するためのSEO戦略実行 ・ターゲットを絞った徹底的なキーワードとコンテンツ調査 ・カテゴリ概要、購入ガイド、ブランドストア、マーケティングページ、ブログ、特集記事など、Best Buyのコンテンツに合わせたサイトコピー最適化 ・カナダ全土192店舗のローカルSEOの管理 ・定期的な報告と競合分析の実行 ・定期的なSEOのアルゴリズム変更への対応と社内ベストプラクティスを常に最新の状態に保つ ・アジャイルチームと協力してSEOの推奨事項の実行
この会社はカナダ国内でEC事業を展開する会社になるため、ECの事業を理解する必要がある他はSEOの専門家として求められるものは日本のSEOアナリストと似ています。
ただし、私のイメージとしては、日本のSEO専門家の場合は、SEOコンサルタントかSEOアナリストの2種類で、SEOコンサルタントは詳細な調査をあまりするイメージがないので、SEOアナリストの要件に似ている感じがします。
最低要件(What experience you need)
- You have a sharp eye for detail and data integrity
- You specialize in white hat on-page SEO
- You’re hard working, organized, and patient (SEO is a marathon)
- A natural team player, you’re comfortable working with people of different skill levels
- You have 2+ years of SEO experience under your belt, with results to show for it.
- You know your way around MS Office Suite, and can navigate Excel like a pro
- You have a working knowledge of HTML
- Experience with Adobe Analytics & enterprise SEO tools a plus
Best Buy Canada社HPより引用 https://careers.bestbuy.ca/csbsites/bestbuy/searchresults.asp
日本語では、こんな感じです。
・細かなデータ統合に対する洞察 ・ホワイトハット内部SEOの専門性 ・ハードワーキング、理路整然、忍耐がある(SEOはマラソンです) ・自然にチームに溶け込め、さまざまなスキルレベルの人と問題なく協業できる ・2年以上のSEO経験 ・MS Office Suiteの知識、高度なExcelスキル ・HTMLの実用的知識 ・Adobe AnalyticsおよびエンタープライズSEOツールの経験があればなお可
基本的に、スキル要件は日本のSEO関連職種と全く同じかと思います。ただし、SEOアナリストポジションのため、日本でいうSEOコンサルタントの方にはやや難しいポジションかと思います。SEOの細かな分析はSEOコンサルタントではなく、SEOアナリストが行うためです。
また、この会社の場合はサイトの規模が大きいためかGoogle AnalyticsではなくAdobe Analyticsの使用経験が求められるようです。私がGoogle Analyticsが基本で、1回だけAdobe Analyticsを利用したことがあるのですが、まあまあ使いづらいです。Google Analyticsが問題なく使えれば適応できそうですが、自身が使ったことのある解析ツールやKWツールが全てCVに記載しておいたほうが良いかもしれません。
日本との違い
日本とカナダでは、やや職務要件が異なります。あくまで求人サイト情報をもとに判断しているので実際はわかりませんが、可能性としては大いにありえるかと思います。
マーケティング領域の学位取得が必要(?)
日本の求人を見ていても、「大卒以上」と記載のある求人は多いですが、海外の場合はこれが「マーケティング、ビジネス、または関連領域の準学士・学士以上」と学位の領域までもが指定されています。
外資コンサル時代によく外国人の同僚から聞いていたのですが、海外の場合は日本とは異なり学部時代の専攻が職務と一貫性のあるものでないといけないという暗黙の了解のような風潮があります。
日本では、文系出身のエンジニアが数多く存在しますが、海外のエンジニアの場合は出身学部が理系学部か、情報系学部である場合が多いです。文系の場合はビジネス系職種かHR系職種でのキャリアが規定路線となります。
そういう意味では、私は経済学士のため職務要件でカバーできないと怪しいです….
Webディレクター職種は未経験不可(?)
日本で未経験からWeb職種になりたい人は、WebマーケティングコンサルタントかWebディレクターとして就職する例があると思います。そのため、日本のWebディレクターの大半はコードを書けない人も珍しくないです。
一方で、カナダではWebディレクターと思わしく職種は「Webディベロッパー」と記載されていて、だいたいフロントエンドかバックエンド言語の経験を要求するものが多く、日本でWebディレクターとして経験があったとしても必ずしも就職できるとは限らないような気がします。
マーケターポジション獲得のため今から伸ばしておくべきスキル
マーケターとして、デジタルマーケティングや自社のビジネス領域についての知識は当然必要となりますが、さらに加えてカナダ特有で求められるものもあるのではと思っています。
デザイン&フロントエンドスキルの習得
カナダのマーケターは、ただマーケティングを知っているだけでなく、自分で手を動かして改善活動までできるプレイヤーを求めているような気がしました。システムの機能を改修するほどのテクニカルスキルは不要だと思いますが、デジタル広告のLPのデザインを変更する場合などは、自分で要件を固めて直せるくらいの感じがあると良いかもしれないです。
また、今回対象にしたバンクーバはスタートアップが多いこともあるのかもしれません…
マーケティングの学士・準学士の取得
日本では、大卒であれば特にどの学問における学士であるかというのは問われませんが、海外の場合はマーケティングの体型的な知識があるかどうかを特定分野の学位取得で判断している気がします。求人によっては、「学位取得もしくは同等の職務経験」のような記載がありますが、どこまで職務経験でカバーできるかわかりませんし、ここは面接前に対策したいところです。
日本で現在働いている人で、マーケティングやビジネス以外の学士卒の方々は、マーケティングが学べる通信制の学士に3年次編入するか、ビジネススクールでMBAを取るのが良いと思います。私は、すごく迷っていて、現地のカレッジでマーケティングのディプロマを取るか、日本にいる間にオンラインで海外大学の修士課程を取るか迷っています。
英語での高速PDCAの実行
カナダのデジタルマーケティング職種は割と事業会社だけでなく、マーケティングエージェンシーでの募集が多い印象を受けました。マーケティングエージェンシーの業務は、コンサルティング会社と同じビジネス形態のため、一人一人が多くの案件をこなさなければ、会社の利益が出ないので、高い生産性が求められるかと思います。
そのため、高い英語力と、英語環境に置かれても業務についていけるだけのマーケティング知識習得は必要かと思います。キリンは前職が外資ITコンサルのため常に英語でアウトプットしていたことからこの辺りは慣れています。そのため、日本語のマーケティングの本を読んでは、英語でアウトプットする練習をいつも呟きながら行っています。
最後に
本記事では、カナダにおけるデジタルマーケター職種の職務要件についてまとめました。あくまで求人サイトの記載から整理した情報ですがある程度信頼性は高いのかと思います。