そもそも「グロースハック(Growth Hack)」とはシリコンバレーでできた概念で、プロダクトグロースのために、ただ広告費を投下するだけでなく、社内で蓄積されたデータを活かしてマーケティング課題を解決していく取り組みのことを言います。シリコンバレーの多くのスタートアップの成長の背景には、このグロースハックによるところが多く、最近では日本のスタートアップでも用いられています。

今回は、グロースハックに関する名著である「Hacking Growth グロースハック完全読本」で即効性のあるものを引用し、紹介したいと思います。

Hacking Growthに対する期待と実感

この本を読むことで、私が達成できるのではないかと期待したものは以下となります。

グロースハッカーとマーケターの違いを知る

単純に、グロースハッカーはユーザ獲得を通して、プロダクトの収益性を高めることに焦点が当てられていますが、マーケティングの1領域であることに変わりはありません。
書籍を読む前の私のイメージでは、マーケターは割とPRに近い領域であり、あらゆるメディアを駆使して売上増加に貢献する職種と捉えています。しかし、グロースハッカーとともに働いたことがないので、彼らが何をしているのかそもそも知らない状況です。本書でこの点を明確にしたいと思っていました。

実際に読んでみると、グロースハッカーはマーケターのようにPRなどのメディアを介した施策だけでなく、利用可能なリソースは全て活用する取り組みです。

インサイト導出における仮説の引き出しを増やすこと

Webアナリストとして業務を行なっていて、もっともっとビジネスに貢献するようなインサイトを出したいと思う時がよくあります。こういう時はただ闇雲にデータとにらめっこするのではなく、データから導き出されるであろう仮説の引き出しを増やすことが大切であると思います。

実際に読んでみると、顧客獲得、収益化、リテンションの局面であらゆる企業の実例の紹介がされています。

例) Pinterest, Airbnb, Facebook, Etsy, Tinder, Paypal, E-Bay, Netflix, Instagram, Youtube, Hubspot, Twitter

これらの企業のあらゆる事例のおかげで、引き出しがだいぶ増えた気がします。

シリコンバレー有名スタートアップのグロース事例を知る

やはり実戦から学ぶというのは大切でして、今回は読書ですが、この本の強みはあらゆる企業のグロースハック事例が紹介されているとのことでしたので、企業の事例から多くを学びたいと考えています。ただ、グロースハックの理論だけ言われても頭に入らないですしねww

上記で触れた通りで、多くのスタートアップ企業の事例が載っていますので、めちゃくちゃ参考になります。

どのスタートアップにおいても、グロースハックが成長に必要な取り組みであることが分かりました。

Hacking Growthでの学び

Hacking Growthの中では、チーム編成、ゴール形成、オペレーション、事例などグロースハックにまつわることを包括的に取り扱っています。

プロダクトの「アハ・モーメント」を見つける

アハ・モーメントとは、ユーザーが自然とありがたがり、使い続け、共有したくなるような、持続的成長に欠かせない要素なのだ。

ショーン・エリス,モーガン・ブラウン. Hacking Growth グロースハック完全読本 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1230-1231). Kindle 版.

日本でもアハ体験という言葉が流行りましたが、ここでいうアハ・モーメントはプロダクトの絶対的な価値を把握するということです。

メルカリなら、「簡単に商品を出品して販売することができることから多くの商品が流通します。そこで出品商品が増えるため、大量の商品ラインナップの中から欲しい商品を簡単に見つけることができる。」という点がアハ・モーメントになります。

ビジネスグロースにおけるデータ分析の重要性

ビッグデータがバズワードなので言わずもがなですが、グロースハックの多くはデータ分析にあると思っています。これは本書でもかなり触れられています。これは、データアナリストだけでなく、あらゆる職種の方が持つべきマインドだと思います。

特にアクティブユーザのトラッキングの重要性について言及しています。そして、これらをトラックするためには、ユーザの属性とそれに対する行動データを用意し、相関関係をみる必要があります。

顧客のさまざまな属性(住所・年齢・性別などの人口統計情報、肩書・業種・利用端末などの追加的属性、ヘビーユースかライトユースかといったプロダクトの使い方)によってデータを分析するとともに、顧客の行動(どの商品を購入し、どんなサービスを選択するかなど)を検証することで、購入金額の多さやエンゲージメントの高さ、利用期間の長さとの相関関係が見えてくる。

ショーン・エリス,モーガン・ブラウン. Hacking Growth グロースハック完全読本 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1553-1557). Kindle 版.

今なら、Webサイトやシステムのデータベースなどからデータを抽出して分析することが可能です。しかし、肩書や業種以外の属性(年齢層、性別、アクセス地域、利用端末、新規/再訪ユーザ)などのデータはGoogle Analyticsでも取得可能となるので、アナリストでなくても基本的な属性と対応する行動(イベント)データは確認できるようにしておくべきです。

また、Webサイトのアクセスデータだけでなく、MA、CRMや外部データなどを活用してデータ分析することも求められることが分かります。

グロースの主要因を知る

どの企業でも必ずKPIを定義しているはずですが、本書ではグロースに纏わる最も重要な指標を理解するためにグロース方程式なるものの理解を推奨しています。

成長戦略の組み立てと重点項目の選定をする第一歩は、プロダクトの成長にとって最も意味のある指標を見つけることだ。これには、ジョーンズの言う「基礎的グロース方程式」を定義するのが最も良い。基礎的グロース方程式とは、成長を促す主要因をすべて含むシンプルな数式のことだ。成長のレバーの基本セットとも言える。

ショーン・エリス,モーガン・ブラウン. Hacking Growth グロースハック完全読本 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1749-1752). Kindle 版.

つまり、これを見たら一発でプロダクトの成長要因がわかるものを定義する必要を訴えています。

方程式の内容はプロダクトやビジネスによって異なり、例えばモーガン・ブラウンが経営するサブスクリプション型ビジネスのインマン・ニュースでは次のようになる。

有料登録者からの収益成長=(サイト訪問者数×メルマガ登録率×ユーザー活性化率×有料登録率)+有料登録継続者数+再登録者数

イーベイの場合はこうだ。

総取引数量の成長=出品中のセラー数×出品数×バイヤー数×成約数

ジョーンズがアマゾンのために考案した次の方程式は、この手法の価値の高さを物語っている(※原注6)。

収益成長=取扱カテゴリーの拡大×カテゴリーごとの商品在庫×商品ページごとの訪問者数×購入率×平均購入単価×リピート購入率

ショーン・エリス,モーガン・ブラウン. Hacking Growth グロースハック完全読本 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1752-1761). Kindle 版.

上記の例で言うと、ニュースメディア、ECサイトの基礎的グロース方程式を引用しています。

もちろん、ビジネスによって式は変わるので、自身のビジネスがどれに当てはまるのか、どう定義できるのかを考えました。私の場合は、マッチングサイト運営に携わっているので、掲載件数などがここに入るのかなとか考えを巡らせています。

まとめ

Hacking Growth グロースハック完全読本を読んで達成したい目標を3つあげましたが、期待以上の知識のインプットがありました。そして、グロースハックがビジネスにおいて重要な手段であることもわかりました。また、シリコンバレー発のスタートアップが以下に本気なのかを痛感しました。

あとは、自身が今現在で携わっているビジネスにどのように適用できるかを考えることが大切だと思います。私自身も自身が携わっているプロダクトにおいて本で学んだ知識をどのように活かすべきかを考えさせられる内容など思います。

今後どのようなポジションであれWeb関係のプロダクトに関わる方には是非ともオススメしたいです。